B型肝炎の記録
制作年月 1977年9月
時 間 53分
あらすじ 1952年、日本で最初のB型肝炎が報告された。肝炎の病原体の正体は何か。原因追究に基づいた予防と治療をめざして、幾多の試行錯誤が重ねられてきた。 実験研究の途上、倒れた研究者もいた。1954年京都大学内科の三上治氏らはB型肝炎ウイルスの分離をめざし、自ら患者血液を接種して発症、犠牲となった。

売血と肝炎、軍隊における黄疸の流行、輸血による肝炎、流行性肝炎、そして家族性肝炎、と追究し続けた研究者たちはついにウイルスにたどり着いた。

1963年厚生省の血清肝炎研究班は、1973年難治性肝炎研究班(織田敏次班長)に受け継がれ、ついに1975年ワクチン開発が始まった。ワクチンの有効性、安全性を確認するために、ヒト以外では唯一肝炎ウイルスに感染する動物チンパンジーの、感染治療実験が開始されたのである。その後、このワクチンが母子感染を断ち切り、かつて日本において国民病といわれたB型肝炎発症予防への大きな動力となった。

一方、松山に限局して発生していた小児の皮膚炎とジアノッティ病の類似の発見から、ヒトの分布と肝炎ウイルスHBVの遺伝的多型の関係など、その後、研究は広がっている。

これはB型肝炎という一つの病気の歴史である。
そして、映画のために集められた記録資料は、そのままB型肝炎研究の歴史を浮かび上がらせ、後世に伝えるものとなった。
受賞歴 厚生省推薦
企 画 山之内製薬株式会社
監 修 織田 敏次 (東京大学医学部 教授)
学術指導 鈴木 宏 (東京大学医学部第一内科)
志方 俊夫 (日本大学医学部第一病理学)
真弓 忠 (自治医科大学予防生態学)
高橋 隆 (北里研究所製造部診断薬部門)
※企画社名、監修・指導学者の所属・肩書き等は完成当時のものです。
スタッフ 演出:武田純一郎
脚本:武田純一郎
撮影:大小島嘉一
作画:森日出朝
解説:小早川正昭
制作:武田純一郎 / 轟泰行